2021年8月8日日曜日

聴音RPG攻略の手引き 第四部

 

4. 聴音の練習について


聴音 RPG の攻略自体が聴音の練習になるのですが、ある音霊のみについて対策したい場合もあるかと思います。第四部では音霊の個別対策となる聴音 RPG 以外のコンテンツ等を紹介し、一連の攻略記事の結びとします。



4.1. オンラインコンテンツを使用した練習

 

4.1.1. 洗足オンラインスクール内のコンテンツ

 

4.1.1.1. ワオーン・デスマッチ



図 4-1 ワオーン・デスマッチ[1]

 
和音聴取の音霊であるワオーンとの戦闘のみを行えるプログラムです。和音の種類が選べ、三和音のみ(ワオーン・トライトーン相当)、七の和音のみ(ワオーン・セブンス相当)、全和音(ワオーン・マスター相当)という形で難易度調整が可能です。

他のオプションについて、聴音 RPG のワオーンは「転回形を含む」「広い音域」から出題されますが、ワオーンに全く歯が立たないという方でしたら「基本形のみ」「中音域のみ」の設定から慣れていきましょう。



4.1.1.2. ネイローンの逆襲



図 4-2 ネイローンの逆襲[2]


音色聴取の音霊であるネイローンとの戦闘のみを行えるプログラムです。全く同じというわけでなく、楽器の種類や演奏されるフレーズ、楽器群の組み合わせ(ボス戦の音色聴取は管打鍵盤楽器)が異なっています。

しかしながら、聴音 RPG にあって本プログラムにない楽器はチューバ、アコーディオン、シンセサイザーくらいで、弦楽器など新規に追加されたものもあるため、聴音RPG と組み合わせることでより多くの楽器の音色に親しむことができます。また、楽器紹介ページには写真も載っているので[3]、楽器の理解ヘの一助となるでしょう。

 
 

 

 

 

4.1.2. 洗足オンラインスクール外のコンテンツ


洗足オンラインスクールのコンテンツには、単音聴取(タノン系)と音程聴取(インターバルーン系)の個別練習はありません。もっともこれらはかなり単純なものですので、探せばスクール外にも類似したコンテンツを見つけることができます。今回は musictheory.net というウェブサイトより、それぞれの個別練習プログラムを紹介します[4][5]



4.1.2.1. Keyboard Ear Training

 
単音聴取の個別練習です。Question Note から再生される音の高さを鍵盤で回答します。本プログラムには参照となる音(Reference Note)が付属しているので、相対音感の練習にも対応しています。

初期状態では白鍵のみで音域も狭いですが、設定(右上の歯車)より Keys で黒鍵からも出題されるよう変更し、Range で出題音域を広げることができます。その他、楽器を変えたり(Instrument)、音名だけでなくオクターブの違いを判別するようにしたり(Range)と、より難度を上げて練習することも可能です。



4.1.2.2. Interval Ear Training

 
音程聴取の個別練習です。UI の長音程(Major)と短音程(Minor)の左右が逆、増四度が”Tritone”(三全音)になっているなど、細かな違いはありますが、おおよそインターバルーン系の戦闘と同じ感覚で練習できます。

初期状態では 2 つの音が同時でなく別々に再生されますが、これも設定中の Playmode で同時再生へ変更可能です。複音程についても Intervals で設定でき(9th, 10th, … , Double Octave)、単音聴取と同様に楽器と音域も変更できます。

 
 

 

 

 

4.2. 実際の音楽作品


実際の音楽作品について音高、音程、和音、音色等を意識して聴くことにより、聴音 RPG にて各要素が独立して出てきたときに記憶上で参照できるようになります。また、分析的に音楽を聴き取ることで楽曲への理解も深まりますので一石二鳥です。ここではクラシック音楽からいくつかの例を挙げておきます。
 
 
バルトーク・ベーラ『管弦楽のための協奏曲』より第二楽章[6]



 
「対の提示」、または「対の遊び」と呼ばれる楽章で、ファゴットによる(ほぼ短)六度、オーボエによる(おおよそ短)三度、クラリネットによる短七度、フルートによる完全五度、トランペットによる(ほぼ長)二度の旋律が次々に現れます。

 
 
エリック・サティ:ジムノペディ第一番[7]


 
 
冒頭の伴奏がソ及びレを根音とする長七和音より構成されます。
 
 
 

グスタフ・マーラー:交響曲第七番より第一楽章[8]



 
 
冒頭がソ#を根音とする導七和音より構成されます。



 
 
 

4.3. 発展的な聴音練習

 
第一部にて、聴音 RPG は音楽大学の入試に用いられる旋律聴音や和声聴音といった音楽的文脈を伴う聴音課題から、単一の要素を抽出したものであることを説明しました。洗足オンラインスクールには入試用の聴音課題に関するコンテンツも充実していますので、聴音 RPG で物足りなくなった方は挑戦してみるのもよいでしょう[9]。収録されている課題は音楽大学の入試対策から、より難度の高い範囲まで対応しています[10]

もちろん、聴音 RPG の RTA 走者である筆者としては、聴音 RPG 攻略後にはスピードランにも挑戦していただけると嬉しく思います。実際のところ 5 秒という解答時間は音楽の時間の流れと比較して非常に長いので、スピードランを通して直感的に音楽の各要素を判断する能力を培うことは決して無駄にはならないでしょう。



音を聴くことと音楽を聴くことは異なるものですが、音を聴くことが音楽を聴くことの礎となるのは間違いありません。音問村の謎を解いた暁には、皆さんの愛する音楽に更なる神秘と輝きがもたらされることを願っています。








参考資料

[1] 洗足オンラインスクール. ワオーン・デスマッチ.

[2] 洗足オンラインスクール. ネイローンの逆襲.

[3] 洗足オンラインスクール. 楽器紹介ページ.

[4] musictheory.net. Keyboard Ear Training.

[5] musictheory.net. Interval Ear Training.

[6] Bartók, B. Concerto for Orchestra, Sz.116. Boosey & Hawkes.

[7] Satie, E. 3 Gymnopédies. Edition Peters.

[8] Mahler, G. Symphony No.7. Bote & Bock.

[9] 洗足オンラインスクール. 聴音.

[10] 洗足オンラインスクール. なんでも相談室 No.819.

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